今回読んだ本は「影響力の武器」です。
この本は、人間の本能とそれによる注意点を教えてくれます。
動物には本能があります。
七面鳥の母鳥は、優しく、用心深くヒナを守ります。
ヒナが寒がっていれば暖め、汚れていれば体をきれいにし、フラフラと出歩いていれば抱き寄せて守ります。
おもしろいのは、こうした世話のほぼ全ては、ヒナたちの「ピーピー」という鳴き声をきっかけにして始まることです。
ヒナが「ピーピー」と鳴けば面倒を見ますが、鳴かなければ無視をします。
実験結果によると、七面鳥の天敵の毛長イタチのはく製の中にテープレコーダーを入れて、「ピーピー」という声を出させながら近づけると、
イタチが近づくのを許し、さらにはそれを自分の翼の下に抱き込んだそうです。
こうした行動は、固定的動作パターンと呼ばれています。
そして、この固定的動作パターンは私達人間にも備わっています。
それは多くの場合、私達に利益をもたらしてくれますが、偽の信号に騙されると間違った状況で反応してしまうんです。
今回は、この本の中で紹介されている人間の本能的な行動や思考に対し、サラリーマンとしての活用方法と注意点を紹介します。
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返報性
返報性とは、親切や贈り物、招待などを受けると、そうした恩恵を与えてくれた人に対して将来お返しをせずにはいられない気持ちになることです。
ある大学教授が実験のため、クリスマスカードをまったく知らない人々に送ってみました。
その教授は、多少は反応があるだろうと思っていましたが、結果クリスマスカードの返事が山のように届いたそうです。
見ず知らずの大学教授に対してです。
この本能の興味深いところは、相手が自分に好意を抱いているかは関係ないことです。
実験結果によると、頼み事をしてくる相手への好感度が高い低いに関係なく(相手を好きじゃないと感じていても)、以前その相手から恩恵を受けていた場合、受けていなかった場合に比べてその頼み事を受ける確率が2倍も上がったそうです。
相手が見知らぬ人や嫌いな人でも、最初にその人から親切な行為をされると、一つぐらいなら要求を受けてもいいという気になるんです。
この本能は、サラリーマンとして活用することができます。
具体的な方法としては、「先に恩を売っておく」です。
仕事で協力的に動いてもらいたい人に対して、先にあなたがその人の困りごとを解決するために動きましょう。
そうすることで、いざあなたが頼み事をしたとき、相手の心の中に「前に協力してもらったからな」という心情(受けた恩恵には必ず報いなければならないという義務感)を自然に起こさせることができます。
すると相手が協力してくれる確率が上がります。
たとえその人があなたをよく思っていなくてもです。
この義務感は私達が思っているよりも強力です。
人は親切を受けたままにしている状態をとても不快に感じます。
なので、この重荷を早くおろしてしまいたいという気になるんです。
あなたがやろうとしている活動に非協力的な人がいたら、その人の困りごとを見つけ、まずあなたがそれを解決するために協力しましょう。
社会的証明
社会的証明とは、人は他の人達が何を正しいと考えているかを基準にしてモノゴトを判断するというものです。
ある行動を遂行する人が多いほど、人はそれが正しい行動だと判断します。
他のみんながやっているなら、それは適切な行動だろうとみなしてしまうんです。
商品に「一番人気」や「定番商品」と強調すると、お客さんはその商品を買おうという気になりやすいです。
人が行列に並びたがるのも、この本能が働いているからです。
サラリーマンとしては、この本能には注意が必要です。
みんなが当たり前のように同じ作業をしていると、それが一番正しいやり方だと思ってしまいがちです。
もちろん、基本的には同じやり方をしていれば問題がないことがほとんどです。
ただし思考停止で同じやり方をしていると、本当はもっといいやり方があってもそれに気がつけません。
なので、この本能を理解した上で、既存のやり方を疑ってみることが大切です。
みんなと同じやり方で作業はしつつも、思考停止で同じやり方をするのではなく、
そのやり方をしている目的や理由を理解した上で、さらにいい方法がないかを考えることです。
そうすることで、みんなが思いつかなかったようなアイデアに出会える確率が上がります。
権威
ある実験で、参加者を「学習者」と「教師」に分けました。
学習者は、教師から出される問題に答えます。
教師は、学習者に問題を出します。
また、教師は学習者が間違えたら、研究者の指示により学習者に電気ショックを与えます。
しかも、学習者が間違える度に電圧を高くしていきます。
実験の結果、教師役の参加者の約3分の2が、強力な電気ショックに対して、壁を蹴り、金切り声を上げて実験の中止を懇願する学習者に対して、強く危険な電気ショックを最後まで与え続けたんです。
実はこの「学習者」は研究者の仲間で、実際は電気ショックは与えられておらず、演技をしていただけでした。
ただし、教師役の参加者が電気ショックを与え続ける行動をしたことに変わりはありません。
しかし、教師役の参加者は決してサイコパスだったわけではないんです。
事実、学習者が苦しむ姿を見て研究者に対して何度も実験の中止を依頼していました。
ここでのポイントは、実験の中止は要望したものの、ボス(研究者)の指示には反抗できずに、最後まで実験を続けたことです。
この実験から分かることは、人は権威に弱いということです。
権威者の命令にはとにかく従おうとしてしまいます。
その権威者の判断が間違っていても(その判断に違和感を感じていても)、従い続けてしまうんです(盲目的に服従してしまう)。
サラリーマンとしては、この本能には注意が必要です。
サラリーマン的に注意をすることは、上司の言うことを鵜呑みにしないことです。
多くの場合、上司からの指示に間違いはありません。
上司は私達よりも多くの知識を持っているためです。
ただし上司も人間なので、当然間違うこともあります。
なので大切なことは、上司から指示があった時、その背景や理由を確認することです。
疑問があれば明確にしましょう。
指示を盲目的に実行するのではなく、理解した上で実行することが大切です。
そうすることで、上司からの指示が間違っていた場合でも、質問を投げかけているうちに、その間違いに気がつくことができます。
まとめ
今回は「サラリーマン向け、人間の本能の活用方法と注意点」を紹介させていただきました。
皆さんが人間の本能を活用し、本能の罠にハマらないための手助けになれば嬉しいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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